「自分らしく生きられていない」と感じる原因のひとつに、自己肯定感が下がっていることが挙げられます。自己肯定感が下がっていると、周りの人の目が気になったり自分が好きなものを主張できなかったり、悩むことも多いはずです。
 
本記事では、自分らしく生きるとはどういうことかについて解説し、自己肯定感との関係を紐解きます。自分らしく生きるためのコツも紹介するので、生きづらさを感じてる方は、ぜひ参考にしてみてください。

自分らしく生きるってどういうこと?

「自分らしく生きる」とは、自分の気持ちや意見にしたがって生きることです。ただし、人との関わりのなかで、自分の意見を無理やり押し通すことは「わがまま」となるため「自分らしさ」とは異なります。
 
例えば、以下にあてはまる場合は、自分らしく生きられているといえるでしょう。

  • ・他者からの評価を気にせず自分の好きなものを語れる
  • ・他社の目を気にせずありのままの自分を好きでいられる
  • ・他者の意見に流されず自分の意見に従う

自分らしさがわからない、自分らしく生きられていないと感じてる場合、他者の目が気になっている可能性があります。他者との関わりのなかで、不安や悩みがないか今一度振り返ってみてください。

あなたは自分らしく生きられている?チェックしてみよう

自分らしく生きられているかどうかがわからない人は、以下を読んで自己肯定感をチェックしてみましょう。

  • ・今の自分は好き?自己肯定感と自分らしさの関係
  • ・自己肯定感ってなに?
  • ・あなたの自己肯定感をチェックする10の質問

今の自分は好き?自己肯定感と自分らしさの関係

文部科学省の分析によると、「今の自分が好きだ」という質問に「とても思う」と答えた人ほど「自分には、自分らしさがある」と思っていることがわかりました。反対に、「今の自分が好きだ」という質問に「全く思わない」と答えた人は、「自分には、自分らしさがある」と思っていないようです。
 
「今の自分が好きだ」という気持ちを、自己肯定感といいます。つまり、自己肯定感が高いほど「自分らしく生きられている」といえるでしょう。

自己肯定感ってなに?

自己肯定感とは、ありのままの自分を認められるかどうかを指します。自分のよいところだけでなく、悪いところも受け入れ、ありのままの自分を好きだと思えることを自己肯定感が高いと表現します。反対に、自分の悪いところだけを見て、自分が嫌いだと思う場合は自己肯定感が低く、自己否定感が強いといえます。
 
独立行政法人国立青少年教育振興機構が平成30年に発表した「高校生の心と体の健康に関する意識調査」によると、アメリカ・中国・韓国と比較して、日本の高校生は自己肯定感が大変低いことがわかっています。このように、日本人は自己肯定感が低い特徴があるのです。

あなたの自己肯定感をチェックする10の質問

自己肯定感が高いか低いかをチェックする場合は、以下の10個の質問に対し、4つの回答のうちどれがあてはまるか考えてみてください。

質問(※) そうだ まあそうだ あまりそうではない そうではない
私には心を打ち明けられる友だちがいる 4 3 2 1
私は人とうまく協力できるほうだと思う 4 3 2 1
私は辛いことがあっても乗り越えられると思う 4 3 2 1
私は怒った時や興奮している時でも自分をコントロールできるほうだ 4 3 2 1
私は努力すれば大体のことができると思う 4 3 2 1
私には、あまり得意なことがないと思う 1 2 3 4
私は、何をやってもうまくいかないことが多い 1 2 3 4
私は価値のある人間だと思う 4 3 2 1
私はいまの自分に満足している 4 3 2 1
体力に自信がある 4 3 2 1

※引用:高校生の心と体の健康に関する意識調査 P37|独立行政法人国立青少年教育振興機構
 
回答が終わったら、自分が選んだ回答の点数をすべて足して合計を出してみましょう。最高点は40点になるので、40点に近いほど自己肯定感が高いといえます。

自分らしく生きられていない!生きづらさを感じる理由

自分らしく生きられていないと感じる理由には、以下の4つが挙げられます。

  • ・こころが元気な状態じゃないから
  • ・自分らしさを出すと嫌われる気がするから
  • ・自分を理解してくれる人がいない気がするから
  • ・「自分がダメな人間」だと感じるから

自己肯定感が低かった人は、4つのうちどれかにあてはまっていないかチェックしてみてください。生きづらさを感じる理由がわかれば、改善できる可能性があります。

こころが元気な状態じゃないから

不安や悩みがあって、こころが元気な状態でない場合、物事を悪い方に考えてしまいがちになり、自己肯定感が下がってしまうことがあります。
 
厚生労働省が平成26年に実施した「全国家庭児童調査」によると、高校生の62.3%がなんらかの悩みを抱えていることがわかっています。例えば、以下のようなものです。

  • ・勉強や進路について
  • ・顔や体型について
  • ・性格や癖について
  • ・学校生活について

顔や体型のように、すぐに改善できない悩みを抱えていると、こころがどんどん落ち込んでしまいます。その結果「自分のことが好きじゃない」という気持ちが生まれるのです。

自分らしさを出すと嫌われる気がするから

中高生の多感な時期は、よい悪いにかかわらず、みんなと同じ行動をしなければならないという同調圧力を感じることがあるでしょう。「みんなと同じことをしないと仲間外れにされるかも」「みんなが笑ってるから笑わなきゃ」と、他の人がやっているからという理由で同じ行動をとることがあります。
 
自分らしさを出してしまうと、変な目で見られたり嫌われたりするんじゃないかと不安な気持ちになってしまう人もいるはずです。実際に、誰かに笑われた経験がある人は、周りの目が気になってしまうでしょう。
 
高校生の心と体の健康に関する意識調査」からは「友だちに合わせていないと心配になる」という質問に「そうだ」「まあそうだ」と答えた中高生は、自己肯定感が低い傾向にあることがわかっています。この結果から考えても、他の人に合わせようすることで自分らしさを見失ってしまい、生きづらさを感じているといえます。

自分を理解してくれる人がいない気がするから

高校生の心と体の健康に関する意識調査」によると、以下の質問に対し「そうだ」「まあそうだ」と答えた中高生は自己肯定感が高いことがわかっています。

  • ・親は、私のことを分かってくれる
  • ・親は、私の悩みを聞いてくれる
  • ・学校にはなんでも相談できる先生がいる
  • ・学校には私を理解し、認めてくれる先生がいる

つまり、自分のことを理解してくれている人がいることが、自己肯定感につながるのです。反対に「自分の気持ちを理解してもらえない」「誰にいっても無駄」と感じている場合は、自己肯定感が下がっているといえます。
 
自分らしく生きられない原因は、理解者がいないと感じていることかもしれません。本当は理解してくれている人がいるのに、自分がそれに気づいていないケースもあります。そのため、本当に理解者がいないかどうかは、真剣に考えなければなりません。

「自分がダメな人間」だと感じるから

「自分がダメな人間」だと思い込むと、自己肯定感が下がってしまい、生きづらさを感じる原因になります。例えば、どんなに勉強しても成績が上がらない場合もあるでしょう。友だちと話した内容を振り返って「どうしてあんなこと言ってしまったんだろう」と後悔する日もあるはずです。そうした積み重ねが「自分はダメな人間だ」という思い込みを作ってしまいます。
 
心理学には、認知のゆがみという考え方があります。以下は「過度な一般化」という認知のゆがみの例です。

昨日、友だちのAちゃんと意見が合わず、微妙な空気になった。自分は、友だちとうまく付き合えないのだ。自分はなんてダメな人間だろう。

普段仲良くしているAちゃんとほんの少し意見が食い違っただけで、すべての友だちとうまく付き合えないと考えてしまっています。「自分がダメな人間」と思い込んでいるケースでは、実際に起きた出来事を正しくとらえられない認知のゆがみが原因となっていることもあります。

自分らしく生きるための考え方のコツ

自分らしく生きられていないなと思う人は、以下の考え方のコツを真似してみてください。

  • ・「なりたい自分」を考えてみよう
  • ・将来の夢を見つけよう
  • ・「できていること」に目を向け「自分らしさ」を発見しよう
  • ・正しい物事の見方を理解しよう
  • ・周りの意見に流されず自分の意見をもとう
  • ・自分を大切にするセルフケアの方法を考えよう

「なりたい自分」を考えてみよう

どのような人間になりたいか、細かくなくてもよいので考えてみましょう。
 
例えば、明るくコミュニケーションを取れる人間になりたいとします。漠然と「明るくなりたい」だけでも十分です。このとき、絶対に達成できないような高い目標は立てないようにしましょう。「明日、自分から友だちにおはようと声をかける」というように、小さなことからクリアしていくことが大切です。
 
「自分にもできるんだ」と思えると、自己肯定感が高まり、自分のことを好きになれます。

将来の夢を見つけよう

将来の夢を見つけるのもよい方法です。夢や目標をもつことで、自分がなにに興味をもっているのかがわかります。
 
なんとなくでもいいので、なりたい職業を思い浮かべてみてください。例えば「ケーキ屋さんになりたい」と思ったら、なぜそう思ったのか考えてみましょう。ケーキを食べるのが好きなのか、ケーキのデザインを見るのが好きなのか、なにに興味を持っているのか追求することで、自分らしさが見えてくるはずです。

「できていること」に目を向け「自分らしさ」を発見しよう

今、自分ができていることを書き出すと、自分らしさが見えてくることがあります。自己肯定感が低いと、つい自分ができてきないことに目を向けがちですが、必ずできていることがあるはずです。
 
例えば「朝起きたら必ず歯を磨く」という当たり前の習慣でも、清潔感を大切にしているととらえられます。「友だちの誕生日には必ずメッセージを送る」といった行動も、友だちを大切にできている証拠です。
 
自分一人で見つけられない場合は、親しい友だちやお家の人に手伝ってもらいながら、できていることを探してみましょう。

正しい物事の見方を理解しよう

友だちや家族との関わりのなかで「相手はこう思っているんじゃないか」「きっと自分のことが嫌いだ」と、事実かどうかもわからないことを決めつけてしまうケースがあります。
 
認知のゆがみと呼ばれる考え方のクセによって、物事を正しく見られないことが、決めつけや思い込みを引き起こします。
 
認知のゆがみは、以下の10パターンです。

認知の歪み
全か無か思考 数学のテストで95点を獲得したが、100点でなければ意味がない、わたしは数学がダメだと結論づける
一般化のしすぎ 発表のとき少し噛んでしまった経験から、自分は人前で話すのが苦手だと決めつける
心のフィルター 友だちと楽しく笑って過ごしたが、先生に注意されたことばかり気になり、一日が楽しくなかったと感じる
マイナス化思考 話し合いで手を挙げたが、あててもらえなかったため、誰も自分の意見なんか聞きたくないんだと悲観的にとらえる
結論の飛躍 Aちゃんに遠くから声をかけたが反応がなかったため、Aちゃんはわたしのことが嫌いになったんだと結論づける
誇大視と過小評価 美術コンクールで賞を取ったが、自分は大したことがない、ほかの人はもっとすごいと評価する
感情の決めつけ Bくんと話していると嫌な気持ちになるから、Bくんはわたしのことが嫌いなんだと決めつける
すべき思考 学校には無遅刻無欠席で通うべきだ、それができないのはダメ人間だと自分を厳しく責める
レッテル貼り どうせわたしはバカだから、なにをしても無駄だと思う
自己関連付け Aちゃんが不機嫌だったのは、わたしのせいだと考え落ち込む

日常的にクセになっている考え方があることに気付くことが大切です。「本当にそうなのか」と自分の考えに問いかけながら、事実を正しくとらえられるようにしましょう。

周りの意見に流されず自分の意見をもとう

周りの人の意見に流されてしまうと、自分らしさが失われるうえ、疲れてしまいます。「自分はこう考える」と、意見をもつことが大切です。
 
ただし、あえて友だちにすべてを伝える必要はありません。友だちの意見に対し「そういう考え方もあるんだね」と相づちを打ちながらも、こころのなかで違う意見をもっていても大丈夫です。
 
大切なのは、友だちの意見と違うから自分は間違っている、と思い込まないようにすることです。自分の意見を尊重してくれる人がいるなら、積極的に自分の意見を伝えてみましょう。

自分を大切にするセルフケアの方法を考えよう

心が落ち着かないときや不安なとき、どのような対処が効くか試してみるのもおすすめです。
 
例えば、好きな音楽を聴く、映画を観るといった行動をとってみましょう。試していくなかで、自分はなにが好きで、リラックスできるかがわかってきます。
 
いろいろ試したら、自分の取扱説明書を作るつもりで、ノートに書き出してみましょう。いざというときは、ノートを振り返ってリラックスできる行動を取ることで、自分で心を落ち着かせることが可能です。

自分らしく生きられる明聖高校の魅力とは

もし、今の学校では、自分らしく過ごせないと感じる人は、通信制高校を選択肢のひとつとして考えてみてください。
 
通信制高校は、全日制高校と違って登校日数が少なく、クラスメイトと直接コミュニケーションを取る機会が限られています。他者と距離を置くなかで、ゆっくりと自分と向き合いながら、自分らしさを取り戻すことが可能です。
 
通信制高校である明聖高校では、ひとりひとりの個性を尊重した教育とカリキュラムを提供しています。さまざまな理由から登校が難しい子たちに向けて、段階的なサポートをしており、自分のペースでゆっくりと高校生活を送れます。
 
先生方はカウンセリングの資格をもっており、みなさんが抱えるさまざまな悩みや不安に寄り添いながら、よき理解者となってくれるはずです。