2020年は新型コロナウイルス感染症の影響により、全国の学校でオンライン授業が導入されました。慣れない授業スタイルに戸惑った人もいれば、「対面授業以上に学びやすい!」と感じた人もいるかもしれません。
こうした動きに先駆けて、ネット高校ではオンライン授業をベースに学習できる仕組みを展開しています。学校でおこなうオンライン授業にはどのような特徴があるのか、メリットを中心に解説していきましょう。

オンライン授業とは?2つのタイプとそれぞれの特徴

オンライン授業とは、パソコンやスマートフォン、タブレットを使い、インターネットを通じて遠隔で学ぶ授業のことです。
オンライン授業には、次の2つのタイプがあります。

オンデマンド型

あらかじめインターネット上にアップされているデジタル教材を使って、生徒が好きなタイミングで学ぶタイプのオンライン授業です。教材には授業動画のほか、イラストや動画などの資料や、理解度を確認する練習問題も含まれます。

オンデマンド型のオンライン授業は、学習時間・場所の融通が非常に利きやすく、いつでもどこでも学習できるのが特徴です。また、動画を途中で巻き戻したり、資料を見返したりしながら、自分のペースで学習できます。

ライブ双方向型

教員がライブ配信する授業を、生徒がリアルタイムで視聴するタイプのオンライン授業です。生徒もチャットで発言できるなど、双方向性が重視されます。また、生徒もWebカメラとマイクを使って、クラス全員の顔が見える形・声が聞こえる形でおこなわれることもあります。

ライブ双方向型のオンライン授業は、対面授業により近い感覚で学習できるのが特徴です。例えば、生徒が授業中に先生に質問したり、生徒同士が授業中にグループ学習をしたりすることもできます。また、決まった時間に先生や生徒がバーチャル空間に集まって学ぶため、集中力ややる気を保ちやすいメリットもあります。

オンライン授業のメリット?対面授業や紙の教材での自主学習と比較

こうしたオンライン授業は、対面授業や紙の教材による自主学習と比較して、どのような特徴があるのでしょうか。メリットを見ていきましょう。

登校できない状況でも学べる

「災害や感染症流行の影響で登校できない」「病気の治療や不登校で登校が難しい」という状況でも、オンライン授業で学習を続けることができます。また、学びたい学校が地理的に遠い場合に、オンライン授業を活用する方法もあります。

仕事などさまざまな活動と両立しやすい

高校でオンライン授業を活用すれば、仕事や子育て、スポーツ、芸能活動などをしながら高校卒業を目指す人も学びやすくなります。インターネットに接続できる環境さえ整っていれば、自宅はもちろん、外出先や海外を含む遠方でも学習することが可能です。

移動時間や交通費がかからない

通学の必要がないため、交通費も移動時間もかかりません。

授業を何度も見返せる

オンデマンド型の授業動画や、ライブ双方向型の授業を録画した動画は、繰り返し視聴できることから、学習内容の理解を深めるうえで役立ちます。

チャットで気軽に発言できる

対面授業で挙手をするのが苦手な人でも、チャットであれば気軽に発言できる場合があります。

また、教科書など紙の教材を使った自主学習と比較しても、次のようなメリットがあります。

動画教材で理解力を深められる

文字と静止画、図だけの教材と比べて、動画教材は学習内容の理解が進みやすいのが強みです。研究によると、動画で見聞きした内容の記憶定着率は、文字で読んだ場合の2倍にも上るといわれています。

先生や友だちとコミュニケーションを取れる

登校できない状況でも先生や友だちと交流できるため、学習のやる気を保ちやすいのもメリットです。また、オンライン授業にeラーニングシステムを使う場合は、先生が生徒一人ひとりの学習状況をチェックできるため、つまずきを防ぎやすくなります。

オンライン授業のデメリットは?

ここからは、オンライン授業のデメリットとして注意すべき点を紹介していきます。

環境を整備する必要がある

オンライン授業を受けるにはまず環境を整備しなければなりません。インターネット回線やパソコン・タブレットといった機材のほか、アプリの登録やログイン登録なども必要です。
慣れれば問題なく操作できるようになりますが、最初は操作に時間がかかる可能性があります。また端末のOSやアプリのアップデート時には予期せぬ動きをすることもあります。そのときは授業を中断して対処しなければなりません。

目や肩などに疲労がたまる

オンライン授業では、パソコンやタブレットを通して授業を見ることになります。長時間座って画面を見続け、イヤホンで音声を聞き続けていると、目や耳、首や肩、腰などが疲れてしまうでしょう。ドライアイになったり視力が低下したりすることも考えられます。
オンライン授業は子どもにとっても、疲労がたまりやすい環境であるため、時間を区切って定期的にストレッチをする、休憩するといった工夫が必要です。

体験が伴う授業・イベントができない

動画を視聴するという授業の形式上、体育や家庭科、理科の実験など体験が伴う授業はどうしても難しくなります。他にも修学旅行や部活動など、オンライン授業では体験できないイベントがあります。

外に出る機会が減る

通学する機会がなければ、外に出る機会も減ります。ずっと外出しない状態が続けば、運動不足や体調不良にもなりかねません。
家で勉強するばかりではなく、外へ出てリフレッシュしたり友人とあったりする機会を意図的に設けるなどの工夫が求められます。

モチベーションを維持しにくい

オンライン授業は基本的に1人で受けることになります。ゲームやスマートフォン、テレビ、漫画などが近くにあると、誘惑に負けて授業に集中できないということもあるでしょう。また家族が騒がしいと感じ、集中できないというケースも少なくありません。
1人よりもクラスメイトがいる教室で勉強するほうが捗る人にとっては、オンライン授業で集中力を保つのは難しいでしょう。

オンライン授業を受ける環境を整えよう!機器の仕様や通信環境をチェック

快適にオンライン授業を受けるには、まず環境を整えることが大切です。以下で、学校のオンライン授業に必要なものをチェックしましょう。

オンライン授業を受けるアプリ・ツールなど

各学校のオンライン授業で使うアプリやツールの準備をしておきましょう。例えば、eラーニングシステムを使う場合には、パソコンやスマートフォンにアプリをインストールする必要があります。Web会議システムを使う場合は、事前に利用登録を済ませておきましょう。

パソコンやタブレットなどのIT機器

オンライン授業を受けるためには、パソコンやタブレット、スマートフォンなどIT機器が必須です。持っている機器の性能(CPU、メモリなど)やOS(Windows、Android、iOS、Mac OSなど)のバージョンが、オンライン授業用のアプリ・ツールに対応しているかどうかも確認しておきましょう。

Webカメラ、マイクなどの周辺機器

ライブ双方向型のオンライン授業を受ける場合に必要です。なお、多くのパソコンやスマートフォンにはあらかじめ内蔵されています。

インターネットに接続できる通信回線

光回線やケーブルテレビによるネット回線、ポケットWi-Fiなど、インターネットに接続できる通信回線を整えておきましょう。動画をスムーズに視聴するために、速度は10〜30Mbps程度、容量は無制限だと安心です。

その他学習環境の整備

自宅でオンライン授業を受ける場合は、集中力ややる気を保てる環境づくりも重要です。家族にも協力してもらえるよう、話をしておきましょう。また、健康を損なわないよう、必要に応じてブルーライトカット眼鏡やタブレットスタンドを活用するなどの工夫をしてみましょう。

【保護者向け】わが子のオンライン授業を成功させるには?

オンライン授業は、子どもによっては授業に集中できないケースがありますが、逆に時間の制限もなくずっと勉強をし続けることも考えられます。集中できるのはよいことですが、勉強を際限なくやりすぎて体を壊すと本末転倒です。親としては、わが子のオンライン授業との相性を考えて、効果的なサポートをおこないたいものです。ここでは保護者ができるサポートの方法をご紹介します。

メリハリをつけて授業を受けてもらう

子どもがメリハリをつけて授業を受けられるようにするため、保護者としては次のような工夫ができます。

・誘惑は断つ

ゲームやスマートフォン、漫画、テレビなどの誘惑に負けてしまうのであれば、親が預かっておくか、簡単には取りにいけない場所にしまう、といった対策をしましょう。

・勉強スペースを決める

遊びと勉強の空間が一緒だと集中できない場合は、パーティションや簡易的なカーテンを設置して、遊ぶ場所と勉強する場所を区切るとよいでしょう。逆に家族の誰かに見守られているほうが集中できる子どもの場合には、リビングで授業を受けさせるのもおすすめです。

・学校の授業と同じように休憩を入れる

長く集中して勉強すると、知らないうちに疲労がたまってしまうこともあります。「50分ごとに10分休憩」というように、意識的に休憩を入れましょう。集中力が続く時間は人によって異なります。休憩を入れる時間を変えるなどして、子どもと一緒に本人に合ったスケジュールを探してみましょう。

・椅子やマット、目薬などアイテムで工夫をする

座りっぱなしで画面を見続けて体に不調をきたす前に、体を休めるアイテムを有効活用するという手もあります。座り心地のよい椅子を購入する、クッションで座る姿勢を調整する、目薬や温タオルで目を休めるなど、身体にできるだけ負荷がかからないような環境づくりが重要です。

座りすぎると、肥満度が高くなったり寿命が短くなったりと健康問題が起こる可能性があるという調査もあります。若年の間から座りっぱなしによる影響を受けないように、定期的に立つ意識を持たせるようにしましょう。

・たまには外でリフレッシュを

家でずっと勉強していればそれだけ学力が上がるわけではありません。たまにはリフレッシュも必要です。オンライン授業ばかりで楽しみが少ないとストレスもたまってしまいがちです。外へ食べに行く、軽い買い物をするなど、理由をつけて外でリフレッシュするよう呼びかけてみましょう。

オンライン環境の整備は詳しい人がサポートする

オンライン授業を受けるための環境整備は、子どもだけでは難しいかもしれません。子どもだけに任せず保護者もともに環境整備に努め、わからない場合には詳しい人の手を借りましょう。

・環境の準備

パソコンやインターネット回線、マイクやカメラといった、オンライン授業に必要な環境は、子どもと一緒に準備をしましょう。子どもが機器やサービスを選んだとしても、ほとんどの場合保護者がお金を払うことになると思います。特に家のインターネット回線は、保護者の名前で契約することになります。費用に見合う効果があるかどうか、子どもと相談しながら検討しましょう。

・オンライン授業を受けるときの注意

実際にオンライン授業に入るまでに、接続できるかどうか必ず確認しておきましょう。また授業開始の前には5~10分前くらいには接続状態にしておき、授業後も10〜20分ほどの時間を空けておくと、何らかのトラブルが起きたときも対処できます。慣れるまでは保護者がそばにいると安心です。