通信制高校を卒業した人の体験談を目にすると、1年程度で卒業したという人もいれば、4年かかったという人もいることに気付くかもしれません。これは、全日制高校と通信制高校では教育課程(仕組み)が異なるためです。

今回は、その仕組みを確認しながら、通信制高校を卒業するまでの年数について解説します。

通信制高校とは?

全日制・定時制・通信制の違い

高校は大きく「全日制」「定時制」「通信制」の3つに分けることができます。それぞれ特色が異なり、制度や学校生活においてさまざまな違いがあります。例えば、全日制高校と定時制高校は学年制をとっていますが、通信制高校は単位制の学校です。通学に関しては、全日制高校、定時制高校は基本的に週5日登校が必須ですが、通信制高校では週に数日程度〜年間数日程度まで、コースによってさまざまな設定があります。
ちなみに、通信制高校である明聖高校の場合は、登校が年間4〜6日のWebコースから、週に5日登校する全日コースまで幅広く用意されており、自身の生活スタイルに最適な学び方を選択することが可能です。

ネット高校・通信制高校の違い

ネット高校は、通信制高校のひとつの形態です。通信制高校のなかでも、インターネット教材を中心に学習する仕組みを整えたものが「ネット高校」と呼ばれています。ただ、通信制高校にもインターネットでの学習を中心にしたコースが用意されていることが多く、実質的にはほとんど差がないものになっています。

ネット高校と通信制高校の違いについて、詳しくはこちらのページもご覧ください。
通信制高校とネット高校の違いとは?登校頻度やレポート提出の仕組みを比較!

通信制高校に通うメリット・デメリット

通信制高校に通うメリットは、何よりも自分のペースで勉強できることです。週5日登校が必須ではなく、曜日や時間に縛られないため、スポーツや芸能活動、仕事、家庭と両立したいなどのさまざまな事情に対応することができます。また、自宅学習を中心とした勉強で単位を修得できるので、不登校の経験がある人や、集団生活が苦手という人でも、比較的通いやすいのが特色です。
デメリットは、全日制高校のように毎日授業を受けることがないため、自身で勉強のスケジュール管理をする必要があることです。自由度が高い分、全日制高校に通うよりもさらに学習に対する自主性が求められるといえるでしょう。

通信制高校に通うメリット・デメリットについて、詳しくは以下のページもご覧ください。
通信制高校を選ぶメリット・デメリットを紹介!どんな人が向いているか全日制や定時制と比較して解説

通信制高校に入学する方法は?

通信制高校への入学方法は、一般的な全日制高校の入学方法とは少し異なります。ここでは入学までのスケジュールや入学方法について、明聖高校を例に詳しくお伝えします。通信制高校の入学に際して学科試験はなく、出願書類と個人面接で選考がおこなわれます。

新入学

各年度、4月からの新入学生を募集しています。1月に前期選抜試験(推薦入試)、2月〜3月に後期選抜試験が設定され、希望するコースによって日程が定められています。いずれも3月までに中学校を卒業見込みの方が対象となります。

転入学(転校・転学)

転入学(転校・転学)とは、すでに高校に在籍している人が、他の高校の同じ学年に入学することです。学校を辞めずに別の高校に移るため空白の期間がなく、一般入試を受け直す必要はありません。明聖高校の場合は、毎年4月〜翌1月に転入学試験を実施しています。

転入学について、詳しくは以下のページもご覧ください。
今通ってる高校から転校したい!何から始めればいい?通信制高校がおすすめな理由とは

編入学

編入学とは、高校を中退した人や、海外から帰国した人、高等専門学校(高専)などに在学している人が、すでに修得している単位を活かして高校に入学することです。なお、1学年の途中で退学した場合は、年度の初めからやり直す「再入学」の扱いとなる可能性が高いため、注意が必要です。明聖高校では2~3月に編入学試験を実施しています。

編入学について、詳しくは以下のページもご覧ください。
通信制高校へ転入学・編入学する条件は?こんな悩みを持った人におすすめ

通信制高校に通う人ってどんな人?

通信制高校には、多種多様な人が通っています。ここでは、通信制高校で学ぶ人について、詳しくお伝えします。

幅広い年齢層

同じ年代の生徒が通っている一般的な全日制高校とは異なり、通信制高校には幅広い年齢層の生徒がいます。文部科学省・初等中等教育局「高等学校通信教育の現状について」(令和2年1月15日)によると、令和1年現在、15歳~19歳が153,507人(77.6%)、20歳~24歳が16,139人(8.2%)、25歳以上が12,028人(6.1%)となっています。全体的には若年化の傾向にありますが、60歳以上の生徒も大勢在籍しています。

専門的なことを学びたい人

通信制高校で学べるのは、一般的な教養だけではありません。各学校には専門コースが設置されており、高校時代から興味・関心のある分野の能力を伸ばすことが可能です。
明聖高校では、全日ITコース、全日デザインコースなど、プロから専門知識を学べるカリキュラムが充実しています。

明聖高校の専門コースについて、詳しくは以下のページもご覧ください。
通信制高校の専門コースはどんなことが学べる?どんな人向け?カリキュラムなどを紹介

自由な時間を確保したい人

通信制高校では、毎日学校に通うコースから年に数回通学するのみのコースまで、さまざまな選択肢があります。各自の状況に合わせたペースで学習できるため、学校の勉強以外に力を入れたいこと、取り組んでいることがある場合も勉強と両立しやすいのが特徴です。
明聖高校のWebコースなら、登校スクーリングは年に4~6回のみで、それ以外はスマートフォンやタブレットなどで学習できます。そのため、どこでも自分のペースで勉強を進め、高校卒業を目指すことができるのです。

明聖高校のWebコースについて詳しく知りたい方は、以下のページもご参照ください。
Webコース|通信制高校(千葉・中野)|明聖高等学校

通信制高校の在籍年数は3年以上。全日制高校との違いに注意

通信制高校を卒業するためには、3年以上高校に在籍する必要があります。加えて、卒業までに74単位以上を修得し、30時間以上の特別活動に出席しなければなりません。

卒業までの年数に関して、特に注意したいのは次の2点です。

最短でも3年はかかる

通信制高校のなかには、1年間で履修できる教科・科目や修得する単位数を生徒が比較的柔軟に決められる学校もあります。しかし、3年以上在籍することが通信制高校の卒業要件であるため「1年間で多めに単位を修得して、3年未満の短期間で通信制高校を卒業する」ということはできません。

3年より多くかかることがある

3年間で74単位を修得し、特別活動に30時間以上出席できなければ、卒業までに3年より多くかかってしまいます。

一般的な全日制高校は「学年制」という仕組みを採用しており、学年ごとのカリキュラムに沿って3年在籍すれば卒業できますが、通信制高校の多くは「単位制」となっています。単位制の通信制高校では、単に在籍するだけでは単位を修得できず、卒業できません。自主学習をして決められた通数のレポートを提出し、一定の時数のスクーリングに出席して、さらに単位認定試験に合格することで初めて単位を修得できる仕組みになっています。

▼通信制高校の卒業要件について、詳しくはこちら。
通信制高校って簡単に卒業できるの?卒業要件とサポート体制

▼単位制高校の仕組みについて、詳しくはこちら。
通信制高校で単位はどうやって取るの?通信制高校のシステムとは

6.通信制高校の卒業が4年目以降になってしまうのはどんなとき?それぞれの対処法

通信制高校の卒業までに3年より多くかかってしまうケースは珍しくありません。文部科学省の調査によると、2017年度の通信制高校卒業生のうち10%が3年より多くかかっていることがわかっています。

公立の通信制高校であれば比較的抑えられるため、4年次以上在籍することもできるでしょう。ただし、私立通信制高校の場合はどうしても費用がかさんでしまう傾向にあります。いずれにしても、可能な限りは3年での卒業を目指すべきだといえます。

どのようなときに卒業が4年目以降になってしまうのか、原因とそれぞれの対処法を見てみましょう。

学習内容や学習計画でつまずいてしまった

自主学習ではなかなか学習内容を理解しきれず、単位を修得できないパターンが挙げられます。また、自分の生活スタイルに合わない学習計画を立ててしまっている人もいます。

学力にあまり自信が持てない人は、学習サポート体制が整っていたり、基礎学習を重視したカリキュラムを組んでいたりする通信制高校を選ぶと、つまずきを防止・解消しやすくなるでしょう。また、学習スケジュールを立てるのが苦手な人は、3年で卒業できるようなカリキュラムに沿って学習できる通信制高校がおすすめです。

学習を続けるモチベーション(やる気)を保てなかった

だんだんと勉強に対するやる気がなくなってしまい、通信制高校を挫折してしまう人も多くいます。自主学習をついサボってしまいがちだという人は、スクーリング回数の多い通信制高校を選ぶと、学習習慣を作りやすく、また友人や先生に頻繁に会うことでモチベーションも保ちやすくなります。

ほかの用事や体調の関係で学習できなかった

仕事や芸能・アスリート活動、子育て、介護などと学習を両立させている人や、病気の治療をしながら高校卒業を目指している人が、なかなか学習に取りかかれず、卒業が延びてしまうことがあります。

最近では、明聖高校Webコースのように、スマートフォンなどを使ってインターネット上で学習できる通信制高校もあり、机に向かって勉強するのが難しい人におすすめです。

また、心身の健康に不安がある人は、カウンセラーが常駐していたり、少人数の個別学習室でスクーリングに出席できたりといったサポート体制が整った通信制高校を選ぶとよいでしょう。

転入学・編入学の場合はパターンによって卒業までの年数が変わる!

通信制高校は、別の高校に在籍する生徒が学年の途中から転入学したり、一度ほかの高校を中途退学(中退)した人が2年次以降に編入したりすることもできます。これらの場合は、前に在籍していた高校の在籍期間と通信制高校の在籍期間の合計が3年以上になれば、在籍年数の卒業要件を満たすことが可能です。つまり、「通信制高校を1年で卒業した」という人は、それまでの高校で2年以上在籍していたということになります。

ただし、修得単位の関係で、卒業までに3年より多くかかってしまうこともあります。ここでは、学年制の全日制高校や定時制高校から、単位制の通信制高校へ転入学・編入学する場合の在籍年数について、いくつかのパターンを解説していきましょう。

学年制高校1年の途中で、通信制高校に転入学

転入学では、学年の途中まで履修していた教科・科目を通信制高校に引き継ぐことができます。そのため、例えば1年生の9月末まで前の高校に在籍していた人は、10月から通信制高校の1年次に転入学し、その年度の3月に1年次を終えることが可能です。この場合は、最短2年半で通信制高校を卒業できます。
2年生の途中で通信制高校に転入学したときも同じ考え方で、最短合計3年で卒業することが可能です。

1年の途中で学年制高校を中退し、通信制高校へ編入(新入学)

学年制の高校では、1年ごとに単位修得認定するのが原則です。そのため、1年生の途中で学年制高校を中退した場合は、単位をひとつも修得できていないことになります。したがって、通信制高校に入学する場合は「編入学」として、1年次の4月に編入することになります。通信制高校に入学してから最短3年で卒業することになるため、卒業までには最短でも合計で3年以上かかることになります。

2年の途中で学年制高校を中退し、通信制高校へ編入

こちらの場合は2年次の4月に通信制高校へ編入することになります。1年で前の高校を退学したときと同様、卒業までには最短でも合計で3年より多くかかることになります。

学年制高校3年の後半以降に通信制高校へ転入学

カリキュラムの関係で、前の学年制高校で修得できていない単位を年度内に通信制高校で修得しきれないことがあります。その場合、その年度の3月に卒業できず、次の4月からもう1年間通信制高校に在籍しなければならない可能性があります。

学年が切り替わるタイミングで転入学・編入学

基本的には次の年次(2年次または3年次)の最初からスタートして、最短合計3年で卒業できます。

ただし、その学年で認定された修得単位があまりに少ない場合は、前の年次からスタートしなければならないこともあります。全日制高校では標準として年間30単位修得するカリキュラムが組まれていますが、例えば明聖高校では、前の学校での修得単位が10単位未満だと1年次から、10単位以上だと2年次から、40単位以上で3年次から転入学・編入学することになっています。

通信制高校の学費はどれくらい?

通信制高校の学費は、学校やコース、世帯年収によっても設定が異なるので出願前に十分な確認が必要です。明聖高校の例を挙げると、全日コースは年間470,000円〜711,200円、中野キャンパスの3日制コースは350,000円~411,200円、通信制コース・Webコースは50,000円〜111,200円となります。これには、入学金、授業料、施設費が含まれており、別途教材費が必要となります。

明聖高校の学費について、詳しくはこちら
学費|通信制高校(千葉・中野)|通信制高校 明聖高校

なお、学費については、高等学校就学支援金をはじめとする、免除・軽減の制度が用意されています。
支援金制度や奨学金など、利用できる制度について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
通信制高校の学費が免除・無償になる?支援金制度や奨学金について紹介