不登校になると「自分だけ普通の人と違うんじゃないか」「自分には何か劣っているところがあるんじゃないか」と不安になる方もいるかと思います。ですが、実は不登校児童・生徒の人数は多く、不登校は決して珍しいことではありません。
今回は実際の調査データを見ながら、不登校の実態を解説していきましょう。「学校に通えなくても大丈夫なんだ」ときっと思えるはずです。

中学校ではクラスに1人以上が不登校に。不登校は“特別”なことじゃない

文部科学省では、次の要件に当てはまる状態を「不登校」と定義しています。

  • ● 何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しない、あるいはしたくともできない状況にある者(ただし、「病気」や「経済的理由」による者を除く)
  • ● 年度間に連続または断続して30日以上欠席している者

同省の調査結果によると、2018年度における不登校の児童・生徒の人数は次のとおりです。

  • ● 小学校:44,841人
  • ● 中学校:119,687人
  • ● 高校:52,723人

いずれも4万人を超え、中学校では約12万人に達しているなど、決して少なくないことがわかります。

また、同じ調査によると、中学生では全生徒の3.65%が不登校であることがわかっています。28人に1人は不登校を経験しているという計算になり、割合としてはクラスに1人以上は不登校という数字です。事実として、不登校は珍しいことではないといえるでしょう。

一方、高校では、全生徒に占める不登校生徒の割合は1.6%で、一見すると、それほど多くはありません。しかし、これは高校での不登校が、原級留置(留年)や中途退学(中退)につながることに関係している可能性があります。

現に、同じ調査で、高校における不登校生徒の25.4%が中退、6.9%が原級留置となっていることが明らかになっています。データ上の不登校人数以上に、学校に行けずに悩んでいる高校生は多いと考えられるでしょう。

不登校が増えているのは、ポジティブな理解が広がっているから

不登校児童・生徒の割合は、近年増加傾向にあることが同じ調査からわかっています。2018年度には、小学校・中学校で不登校児童・生徒の割合が過去最大となりました。

この背景について、自身も不登校を経験し、不登校の専門誌『不登校新聞』の編集長を務めている石井志昂さんは、2つの要因があると分析しています。

1つ目は、いじめが発生してから解消するまでのサイクルが速くなり、いじめに巻き込まれる児童・生徒数が増えているからだというのが、石井さんの意見です。しかし、一方で、不登校が社会的に認知され、「無理に登校してつらい思いをするくらいなら、休んだほうがいい」という考え方が広がっていることも、不登校増加の2つ目の要因なのではないかと、石井さんは主張しています。

いい換えれば、不登校を「矯正するべき問題」とネガティブに捉えるのではなく、「エネルギーを充電するために必要な状態」とポジティブに捉える風潮が広がっているということになるでしょう。そう考えれば、不登校が増えている現状は、決して悪いことばかりではないといえるのではないでしょうか。

不登校でも高卒資格を取得できる!通信制高校という選択肢

不登校の人数が増え、不登校に対するポジティブな考えも広がっている中で、学校に登校できなくても学習を続けられるさまざまな選択肢も登場しています。

そのひとつが通信制高校です。通信制高校とは、自宅での自主学習を中心に勉強を進め、高校卒業資格を目指す仕組みの高校を指します。学習の仕方こそ異なりますが、高卒資格は一般的な全日制高校とまったく同じであると法律で定められています。

具体的にどのように勉強を進めるか、明聖高校通信コースの例でご紹介しましょう。

自主学習とレポート提出

主に教科書や副教材などを使って自主学習を進め、決められた期日までに、学習内容のレポート(月15通程度)を提出します。レポートとはいっても論文ではなく問題形式で、無理なく取り組める内容・難易度となっており、教科書などを見ながら作成しても問題ありません。後日、レポートが添削されて返ってきたら、添削結果を見ながら復習します。

さらに明聖高校通信コースでは、独自の学校設定科目「リラーン」で、英語・数学・国語を中学校の範囲から復習できるようになっており、不登校中の学習の遅れを取り戻すことが可能です。

スクーリング

明聖高校通信コースでは、月2回(金曜日)に登校してスクーリングに出席します。全日制高校よりもゆっくりめの9時半に始まり、正規履修科目の生徒は1日に4コマのスクーリングを受講します。

スクーリングの内容は、各単元の重要なポイントやレポートの解説のほか、ホームルームでは進路指導も行われます。また、疑問点を先生に個別相談することも可能です。

もし、毎回スクーリングに出席することが難しい場合は、テレビやラジオの講座を視聴したり、DVD教材で学習したりして、「視聴報告課題」を提出することで、スクーリングの出席時数に振り替えることもできます。

単位認定試験

年に1回、年度末に試験を受け、合格すると履修した科目の単位を修得できます。これまでレポートやスクーリングで学んできた内容をしっかり理解していれば問題なく合格できる難易度です。

卒業要件

以上の学習を続け、次の要件を満たせば、通信制高校を卒業できます。

  • ● 高校に合計3年以上在籍している
  • ● 必修科目を含め74単位以上を修得している
  • ● 特別活動(ホームルーム活動や学校行事など)に30単位時間以上出席している

明聖高校通信コースのカリキュラムは、3年間で上記の要件を無理なく満たし、卒業できるように設定されているのが特徴です。「自主学習メインだと学習スケジュールの管理が心配」という人も、安心して勉強を進めることができます。