体調を崩しがちだったり、病気の治療を続けていたりする人は、毎日学校に通って朝から夕方まで授業を受けることが難しい場合もあるかと思います。中学卒業後の進路に悩んだり、全日制高校で欠席が続いて卒業できるか不安になったりする人もいるでしょう。
そのように健康状態への不安を抱える人でも、負担をかけすぎずに高校卒業を目指せる方法として、通信制高校という選択肢があります。その理由を詳しく解説していきましょう。

通信高校生の10%以上が通院しながら学習を継続

健康状態を理由に通信制高校に入学している人は多く、ある調査では通信高校生の8.6%が「健康・身体的理由により毎日通学することができない」という理由で、通信制高校への入学を決めたことがわかっています(「高等学校定時制課程・通信制課程の在り方に関する調査研究」2012年)。また、別の調査結果では、通信制高校生の約12%が「(現在)通院している」ということも示されました(「定時制・通信制生徒の意識と生活実態調査のまとめ」2010年)。
 
明聖高校にも、自宅療養中の人や、入退院を繰り返さなければならない状況の人、起立性調節障害などの人が在籍しています。
 
実際にたくさんの高校生が、通信制高校で体調と相談しながら卒業を目指して学習していることがわかるでしょう。

通信制高校が選ばれる理由とは?体調に合わせて学習できる仕組み

体調に悩みを抱える多くの人が通信制高校を選んでいる理由は、その仕組みにあります。具体的には、生徒一人ひとりが自分のペースで学習し、無理なく卒業を目指せるような仕組みになっているのが特徴です。
 
通信制高校では、基本的に毎日学校に通って授業を受けるわけではなく、学校外での自主学習をメインに学習を進めます。また「スクーリング」と呼ばれる登校することでの学習も、一般的な全日制高校より回数が少ないケースが大半です。
例えば、明聖高校はコースによって、週3回(3日制コース(中野キャンパス))、月2回(通信コース(本校))、年4回程度(WEBコース)といったスクーリング回数になっています。
 
このような仕組みであるため、健康に不安がある人も、自宅で休みながら具合のいいタイミングで学習できます。外出が体の負担になったり、長時間学習を続けることが難しかったりする人でも安心できるでしょう。万が一入院しても、教科書やWEB教材などで学習を続けることが可能です。学習中にわからない個所があったときも、自宅からメールや電話で先生に質問でき、遅れを心配することなく学習を進められます。

ここをチェックしよう!健康に不安がある人の通信制高校の選び方

体調に不安のある人が通信制高校を選ぶときに、特に注意したいのがスクーリングにかかわる要素です。どのような通信制高校を選ぶとよいか、チェックポイントを詳しく見ていきましょう。

スクーリング回数

スクーリングの回数・頻度を見て、自身の体調で基本的に問題なく、すべてのスクーリングに出席できる通信制高校を選びましょう。学校によっては毎日スクーリングがあるところもありますが、健康上の悩みを抱えている人は、よりスクーリング回数が少ない学校を選んだほうが、安心して学習を続けやすいといえます。

スクーリングの時間帯

体調が比較的よい時間帯にスクーリングに出席できる学校を選ぶのがよいでしょう。例えば、起立性調節障害で朝早い時間の活動が難しい場合は、スクーリングが始まる時間が遅い学校を選ぶという方法があります。
また、長時間自宅を離れることに不安がある場合は、スクーリングが半日で終わる学校を選ぶこともできます。

スクーリングの場所

通学の負担をできるだけ軽くするために、また万が一のときに備え、スクーリングが行われる場所ができるだけ自宅から近い学校を選ぶのが安心です。

スクーリングの環境

保健室が設置されていたり、スクーリングの日には養護の先生が待機してくれていたりと、スクーリング中に具合が悪くなってしまったときでも対処してもらえるような環境・体制が整っているかをチェックしましょう。

スクーリングを欠席したときの振り替え

体調を理由にスクーリングを欠席したときに、何らかの形で振り替えてもらえる通信制高校であれば、より現実的に卒業を目指しやすくなります。例えば、明聖高校はDVD教材や放送視聴制度を利用して自宅学習し、「視聴報告課題」を提出することで出席時数に振り替えることが可能です。

その他の柔軟なサポート

もともとのスクーリングの在り方が自分に合っているだけでなく、個々の状況に合わせて柔軟に対応してくれる通信制高校を選ぶのがおすすめです。先生が健康状態に理解があり、学習の進め方の相談に乗ってくれるような学校であれば、学習を続けやすいでしょう。
 
集中スクーリングのある学校には注意
通信制高校の中には、遠方で合宿を行う形で、一定期間集中的にスクーリングを行う学校もあります。体調に不安のある人には負担が大きい可能性があるため、実施方法や内容に十分注意が必要です。
 
▼スクーリングについて、詳しくはこちら
通信制高校のスクーリングでは何をする?日数や時間割例を紹介!

全日制高校の出席日数が気になる人は、通信制高校への転入もOK

全日制高校に通っている中で体調を崩してしまい、通学が難しくなった人も、途中で通信制高校へ入学することが可能です。この仕組みを「転入」といいます。
 
転入とは、いわゆる「転校」のことで、ある高校に通っている生徒が、学年はそのままで別の高校に入学する方法です。通信高校生の50%以上が転編入というデータもあるなど、多くの人が全日制高校をはじめとした他校から転入しています(「高等学校通信教育に関する調査結果について」2017年)
※編入は、高校を中退した人が再度途中の学年から入学すること。
 
転入できるタイミングは学校によって異なりますが、年に複数回設けられていることが一般的です。例えば、明聖高校では転入は5~1月に転入できるチャンスがあります。
 
全日制高校で欠席が続き、このままでは3年で卒業することが難しいと判断された場合でも、カリキュラムの合った通信制高校に転入すれば、全日制高校と通信制高校の在籍期間を合わせて3年で卒業できる場合もあります。これまで修得した単位の照合を含めて、転入を希望する通信制高校に相談してみるのがおすすめです。