通信制高校は一般的に、全日制高校より登校日数が少ないことで知られています。通信制高校に登校することを「スクーリング」という表現で目にしたことがある人もいるのではないでしょうか。
今回は、通信制高校のスクーリングは何のために必要か、日数はどのくらいで具体的に何をするのかについて解説します。実際に通信制高校で使われた時間割の例もご紹介しますので、参考にしてみてください。
スクーリングとは?卒業資格との関係
通信制高校のスクーリングとは、実際に学校に登校し、先生から対面で指導を受けることです。正式には「面接指導」と呼ばれます。授業を聞いたり、先生に個別に相談したりしながら、学習への理解を深めることが目的です。また、学校によっては、部活動などに参加して、ほかの生徒と交流を深められることもあります。
また、スクーリングは高校卒業の条件を達成するためにも求められます。通信制高校を卒業するためには、次の3つの条件をクリアしなければなりません。
- ①3年以上高校に在籍する
- ②74単位を修得(必履修科目を含む)する
- ③30単位時間以上の特別活動に出席する
②の単位は、年1~2回実施される単位認定試験に合格することで修得できます。その試験の受験資格が、学校で決められた回数のレポートを提出していることと、同じく決められた時間数のスクーリングに出席していることです。つまり、スクーリングに出席をしていなければ単位は修得できないことになります。
③の特別活動は、集団での活動を通じて人間的な成長を目指すためのもので、教科の学習以外の活動です。ホームルーム(HR)や学校行事などがこれにあたり、スクーリングの際に参加することになります。
スクーリングは、レポート提出とともに、通信制高校での学習の柱だといえるでしょう、
スクーリングの日数、時間帯は学校ごとにさまざま
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スクーリングは、一般的に次のような形で行われます。
頻度・日数
週3~5回、月1~2回、年4回程度など、学校によって大きく異なります。
また、同じ通信制高校でもコースによってスクーリング日数が違うこともあります。例えば、明聖高校では、通信コースは月2回、3日制コース(中野キャンパス)は週3回、WEBコースは年4回程度というスクーリング頻度です。
ただし、スクーリングがない=0日という通信制高校はありません。
通信制高校の標準的な面接指導時間数は、文部科学省による学習指導要領で示されています。ラジオやテレビ、インターネットなどを使った学習で、面接指導や特別活動の時間を一部免除することも可能ですが、すべてをメディアでの学習に置き換えることはできないのが決まりです。
スクーリングは通信制高校を卒業するためには必須ですので、自分のライフスタイルや学習スタイルに合ったスクーリング日数の学校を選ぶことが大切です。
例えば「勉強が苦手」「やる気(モチベーション)が続きにくい」など、独りで自宅学習を続けることに不安がある人はスクーリング日数が多い高校、仕事やスポーツ・芸能活動、病気の治療などと学習を両立させたい人はスクーリング日数が少ない学校のように考えるとよいでしょう。
時間帯
午前か午後の半日で、合計3時間程度授業が行われるケースがよく見られます。一方で、全日制高校と同じように1日中(9時~16時)授業を受ける学校・コースも珍しくありません。
また、午前中にスクーリングが始まる通信制高校の中には、授業開始時間が一般的な全日制高校より遅く設定されている学校もあります。起立性調節障害などのために早い時間に起きるのが難しい人や、ラッシュ時の人混みが苦手な人でも登校しやすいでしょう。
遅刻や欠席をしても大丈夫?
学校によっては、遅刻や欠席に厳しく、単位認定に響いてしまう場合もあります。ただし、体調不良や心の不調など、正当な理由がある場合は、補講スクーリングをしてもらったり、メディア学習で振り替えできたりする通信制高校も少なくありません。不登校の経験があるなど、スクーリングが難しいと感じる人は、登校をサポートしてくれる学校を選ぶのがよいでしょう、
通信制高校の時間割例を見てみよう!明聖高校のスクーリング
実際に、通信制高校のスクーリングがどのように行われているか、明聖高校通信コースの例を見てみましょう。
1年目
- 1限(9:30~10:15):数学Ⅰ
- 2限(10:25~11:10):リラーンⅠ
- 3限(11:20~12:05):コミュニケーション英語Ⅰ
- 4限(12:15~13:00):総合的な探究の時間
2年目
- 1限(9:30~10:15):HR
- 2限(10:25~11:10):家庭総合
- 3限(11:20~12:05):生物基礎
- 4限(12:15~13:00):コミュニケーション英語Ⅱ
3年目
- 1限(9:30~10:15):世界史B
- 2限(10:25~11:10):古典B
- 3限(11:20~12:05):総合的な学習の時間
- 4限(12:15~13:00):数学Ⅱ
2、3年次生 未再履修科目
- 5限(13:30~14:15):美術Ⅰ
- 6限(14:25~15:10):地学基礎
- 7限(15:20~16:05):コミュニケーション英語Ⅰ
1限目は9時30分からで、少し遅めのスタートです。1限は45分で、やや短めになっています。基本的な授業はお昼ごろに終わり、午後は「2、3年次生 未再履修科目」のスクーリングです。5教科だけでなく、芸術科目や家庭科、情報などのスクーリングもあります。さらに、明聖高校オリジナルの学校設定科目として、中学で学ぶ国語・数学・英語をおさらいする「リラーン」もあります。
スクーリングでは、先生からレポートの解説を聞いたり、学習の理解を深めるためのオリジナルプリントに取り組んだりします。単位認定試験の前は、試験のポイントについても重点的に教えてもらえます。
HRは、生徒指導に関わる内容や進路指導がメインです。進学、就職、夢に向けた活動など、生徒一人ひとりが自分の将来について考えます。
集団が苦手な生徒は、少人数制の個別学習室でスクーリングを受けることも可能です。また、やむを得ず欠席してしまった人は、自宅でラジオやテレビ、DVDで講座を視聴して、視聴報告課題を提出することで振り替えられます。
まとめ
通信制高校は、周囲が思っている以上に温かくて活気のある場所です。コミュニケーションが取れるようになった人、勉強に対する苦手意識や劣等感がなくなった人、部活動や学校行事を満喫する人など、笑顔と夢にあふれる「あるある」がたくさんあります。
もっとも、インターネットで調べてみるだけではわからないことはたくさんあります。学校によって特色もさまざまですし、立地や雰囲気なども画面からはなかなかわからないでしょう。
そこで、オープンキャンパスや学校説明会など、直接通信制高校に足を運べる機会があれば、積極的に行ってみるのがよいでしょう。自分の目で見て、わからないことは学校の先生にどんどん聞いて、納得のいく高校を選ぶのはいかがでしょうか。
※参考URL
平成 30 年度東京都立高等学校 定時制課程・通信制課程 入学案内[別窓]
高等学校通信教育規程[別窓]
高等学校学習指導要領 文部科学省[別窓]
明聖高等学校は、千葉・中野にキャンパスを構える通信制高校です。全日コース・全日ITコース・通信コース・WEBコースに分かれており、一人ひとりに合わせた高校生活を過ごすことができます。