通信制高校にせっかく入学しても「思っていたものと違った」「別の高校にすればよかった」と後悔してしまう人は少なくありません。実際に、ある調査では「これまでに学校をやめたいと思ったことがある」と答えた通信制高校の生徒が約40%に上りました(「定時制・通信制生徒の意識と生活実態調査のまとめ」日本高等学校教職員組合定通部)。
特に通信制高校は、学校ごとに特色が大きく異なり、また遠方からも通える広域通信制高校も含めると選択肢が多くなってしまうことから、比較検討が難しいという背景もあります。ここでは、上記の調査結果で「通信制高校をやめたいと思ったことがある理由」として実際に挙げられている声をもとに、後悔しない通信制高校の選び方について解説していきましょう。

【後悔しない選び方1】
仕事と両立できるようスクーリング回数や立地をチェック

仕事をしていると疲れて学習できなかったり、仕事とスクーリングのスケジュール調整が難しかったりして、「通信制高校で学習を続けることは難しい」と後悔してしまうことがあります。

調査によると、通信制高校の生徒のうち、就業している人は約3割にも上ります(「高等学校定時制課程・通信制課程の在り方に関する調査研究」)。現時点で通信制高校への進学を検討している人の中にも、入学後に働きたいと考えている人や、すでに就業している人がいるのではないでしょうか。

週数日程度のアルバイトや、毎日数時間程度のパートであれば、学業と両立しやすいかもしれませんが、フルタイムで働いていたり、学費や生活費をすべて自分で稼いだりしている場合は、相応の体力と職場の理解が必要になります。まずは、働きながら通信制高校に通えるかどうか、自身の体力や仕事、ライフスタイルなどの現状を今一度見直すことが大切です。

また、学校によっても両立のしやすさは変わってくるため、特にスクーリングするキャンパス・施設と職場の距離や、スクーリング回数などに注目して、自分のライフスタイルに合った通信制高校を選びましょう。

【後悔しない選び方2】
友だちや先生と交流を深めたい人は部活動や学校行事にも注目

全日制高校から通信制高校へ転入した場合には、友人関係や先生との距離、学校行事や部活動などコミュニケーションの機会に不満を感じて、後悔することがあるようです。登校日数が少なく、登校しても一定のクラスがなかったり、行事が少なかったりするため、同年代の友だちや先生と交流を深めたいと思う人には物足りなく感じることもあるかもしれません。

生徒や先生とコミュニケーションのきっかけを持てる課外活動を重視する人は、事前にどのような学校行事があり、どのように交流できるのかを調べて、通信制高校を選ぶことが大切です。最近では、通信制高校でも部活動に取り組めたり、ボランティアなどの体験活動が充実していたりするケースも多く見られるようになってきています。

また、通信制高校に通いたい人の中には、集団は苦手だけれど、少人数でコミュニケーションを取っていきたいという人もいるでしょう。その場合は、例えば明聖高校のように、アバターを作って仮想教室で会話できる通信制高校も検討してみるのもおすすめです。

【後悔しない選び方3】
カウンセラーの有無など人間関係の悩みを相談できる環境を重視

2つ目の理由と関連して、人間関係の悩みから学校の選択を後悔する通信制高校の生徒も多く見られます。通信制高校はコミュニケーションに苦手意識のある人も多く集まるので、特に人間関係の悩みが生じやすい側面もあるかもしれません。

人間関係に不安がある場合は、困ったときに相談できる環境が整っているかをチェックして、通信制高校を選ぶと安心です。学校にカウンセラーが常駐していたり、全教員にカウンセリング講習を義務付けていたりする通信制高校を検討するとよいでしょう。

【後悔しない選び方4】
学習サポート体制の整った高校ならレポート作成も安心

通信制高校を卒業するためにはレポート提出が必須です。レポートは基本的にはあまり難易度の高くないものですが、自分で教科書や副教材を読み、理解して取り組まなければならないことが多いので、中学までの基礎学力に不安のある人は難しく感じることも多いかもしれません。また、スクーリング回数の少ない通信制高校ほど、授業で先生に解説してもらえる機会が少ないため、自学自習の側面が大きくなります。独りで学習することの負担と不安が大きくなると、通信制高校を選んだことに後悔してしまうこともあるでしょう。

レポート作成や基礎学力に不安がある場合には、学習サポート体制が整っている通信制高校がおすすめです。例えば、動画授業を視聴できたり、電話やメール、チャットなどで気軽に先生に質問ができたり、中学までの内容の復習にも力を入れていたりする通信制高校をチェックしてみましょう。
また、独りでレポートに取り組むのが苦手な人は、スクーリング回数が多めの通信制高校のほうが無理なく学習を進めます。