通信制高校への進学を検討している人のなかには、「通信制高校は世の中からの偏見があるのではないか? そのために卒業後の進学や就職に不利益が生じるのではないか?」と不安になる人もいるかと思います。
ですが、実際は心配する必要はありません。その理由や背景について、詳しく見ていきましょう。

通信制高校に対する偏見への心配は不要!

通信制高校への進学を考える際に気になることのひとつが、卒業後のことです。
通信制高校は、多くの人が通う全日制高校とさまざまな点で異なります。
そのため、「通信制高校を卒業しても大学に進学できないのではないか」「世の中には通信制高校への偏見があり、就職で不利になってしまうのではないか」と心配になる人も多いと思います。

かつては、通信制高校に対して「何らかの理由で全日制高校へ通えない人の受け皿」というイメージもありました。ですが、近年では、通信制高校も多様な高校の在り方のひとつとして認められています。

通信制高校への偏見がなくなっている3つの理由

通信制高校に対する偏見がなくなっていることには、次のような理由があります。

通信制高校の多様化

現在、通信制高校の多くは、独自のカリキュラムやユニークな課外活動など、それぞれに特色を持つようになっています。以下でその例をご紹介しましょう。

大学進学実績が豊富な学校

全日制高校のいわゆる「進学校」と同様に、通信制高校にも大学進学実績の豊富な学校が多くあります。そのような通信制高校では、生徒が確かな学力を身につけられるよう、授業や教材、カリキュラムなどの工夫が凝らされているのが特徴です。

就職に役立つスキルアップ、資格取得へのサポートが充実している学校

美容師や公務員などの資格取得に向けた学習ができたり、ITや語学などのスキルを身につけられたりする通信制高校も増えています。学校での学びを、特に卒業後の就職に役立てられるタイプの通信制高校です。

学校行事や課外活動など、コミュニケーションの機会が多い学校

スクーリング日数が少ない通信制高校でも、生徒や教員とコミュニケーションが取れる機会を多数設けている学校は多くあります。文化祭・運動会といった学校行事や、部活動などの課外活動のほか、農業体験のように自然に触れられる活動ができる学校も見られます。

留学制度がある学校

社会がグローバル化するなかで、留学制度を設けている通信制高校も登場してきました。特に通信制高校は単位制で、学習時間の融通も利くため、全日制高校と比べると留学しやすい環境が整っています。

このように、多様な通信制高校では、全日制高校と同じような、あるいはそれ以上の学習・体験をすることが可能です。そのことが社会的にも認められてきているため、通信制高校への偏見はなくなってきています。

通信制高校卒業生の増加

通信制高校を卒業している人は、社会的に珍しくなくなっています。
「学校基本調査」(平成29年度)によると、2016年の1年間で通信制高校を卒業した人は約52,000人です。2006年の年間卒業生数は約41,000人ですから、増加傾向がうかがえます。より多くの人が通信制高校を卒業するようになったことから、偏見を持つ人も少なくなってきました。

学び方に対する社会の考え方の変化

さまざまな学び方が認められる社会になったことも、通信制高校への偏見がなくなっている理由です。
近年では、「学び方も自由に選択できるのが当たり前」という考え方も一般的になってきています。信念と自信を持って選択した進路であれば、全日制高校も通信制高校も差はないといえるでしょう。

通信制高校は法的にも全日制高校と同じ!

通信制高校は、法的にも全日制高校と同じ「高等学校」です。
具体的には、学校教育法第45条で定められています。したがって、大学や企業は、卒業した高校が通信制高校であることを理由に高卒資格を認めないということはできませんし、全日制高校と通信制高校の卒業生の間に差異を設けることもできません。

また、通信制高校を卒業したときに得られる資格は、全日制高校と同じ「高校卒業資格」です。似たようなものに「高等学校卒業程度認定試験(高卒認定試験)」がありますが、こちらはあくまで「高校卒業と同等の学力を有する」ことの証明になります。高卒認定試験に合格すれば大学の受験資格を得ることはできますが、大学を卒業しなければ、試験に合格しても最終学歴を「高卒」とすることはできません。その場合の最終学歴は「中卒」となります。

通信制高校を卒業すれば、高認ではなく、全日制高校とまったく同じ高卒資格を取得できることに自信を持っておきましょう。