高校には「学年制」「単位制」という課程の区分があります。「全日制」「定時制」「通信制」という区分は授業の時間帯や教育方法で高校の種類を分けたものですが、「学年制」「単位制」は学年の有無による区分です。
ほとんどの通信制高校では、単位制が採用されています。この記事では、単位制にはどのような特徴があるのか解説していきましょう。

どう違う?学年制と単位制それぞれの仕組み

学年制と単位制は、それぞれ以下のような仕組みになっています。

学年制高等学校

学年ごとに学習する科目がある程度決まっている高校です。次の学年に進級するために、その決まった科目の単位を修得していき、3年生を修了すれば卒業が認められます。

進級に必要な全単位がそろわなければ進級できず「留年」となります。一般的に、留年した場合にはその学年をやり直す必要がありますが、単位制高校への転入学など、個別に単位の修得が認められる場合もあります。

単位制高等学校

原則、学年によって学習する科目が決められておらず、3年または3年以上在籍して、一定の単位を修得すれば卒業できる高校です。1988年に定時制課程と通信制課程で導入され、1993年からは全日制課程でも設置が可能になりました。

なお、単位制高校でも学年制高校でも、卒業までに必要な単位は74単位以上と定められています。全日制・定時制高校では、1単位の修得に必要な授業時間(単位時間)数が決まっていることから、単位制でも学年制でも、卒業までに費やさなければならない時間は同じです。

また、単位制の通信制高校でも、科目ごとに単位修得に必要な添削(レポート)回数や面接指導(スクーリング)の時間が決められているほか、ホームルームなど特別活動に30単位時間以上出席する必要があり、他の学年制の高校と、卒業までの実質的な学習時間の合計に大きな差が出ないようになっています。

単位制高校の特徴~自分のペースで、自分の関心に合った学習が可能

中学校まで「学年」の仕組みに慣れ親しんできた人には、単位制のイメージがわきづらいかもしれませんが、単位制の高校には次のような特徴があります。

自分のペースで学習できる

「学年」という区分がない単位制高校では、基本的に「留年」という概念がありません。万が一単位を落とした場合も、翌年再度科目の履修ができます。各学校「年間に修得可能な単位数や科目数」に一定の制限を設けている学校がほとんどです。その制約の中で、自分のペースで無理なく卒業に必要な単位を修得していけるのが特徴です。

学習内容の自由度が高い

学校によっては、必修科目以外は自分の興味・関心、進路に合わせた科目を選択できるなど、学習内容を選べる自由度が比較的高い場合もあります。将来の夢に直結するような内容を重点的に学ぶことも可能です。

計画的に卒業を目指す!自分に合った単位修得プランを考えよう

単位制高校では学習スタイルの自由度が高い分、卒業に向けて計画的に単位を修得していく必要があります。以下で、単位制の通信制高校を例に、3つの単位修得プランを考えてみましょう。

3年で無理なく卒業を目指す!基本プラン

一般的な全日制高校と同じ3年間で卒業を目指す場合は、年間25単位ずつの修得を目指すプランが考えられます。そのうち1年間は1単位少ない24単位修得すれば足りますが、余裕を持って3年目に当てるとよいでしょう。
3年での卒業はいわば最短コースになりますが、自宅学習が基本で時間の融通が利きやすいので、十分マイペースに学習できます。アルバイトや趣味、夢に向けたトレーニングなどと学習を両立させたり、体調を見ながら学習を進めたりすることも可能です。

目標は現役合格!大学受験をする人の早期修得プラン

大学受験を考えている場合は、単位修得だけでなく、受験勉強のための学習時間も考えてプランを組むのがよいでしょう。
例えば、1年目は必修科目を含めた基礎的な科目を中心に30単位、2年目には少し学習内容が難しくなるので25単位、3年目には残りの19単位を修得すれば、3年目には大学受験の準備に多くの時間を割けます。
ただし、基礎学力に不安がある場合は、1年目に30単位を修得することが難しい可能性も高いでしょう。「しんどいかな」と感じたら、無理せずプランを見直して、着実に単位を修得していくことが重要です。

単位修得をサポートしてくれる学校も

「履修する科目や修得単位数を全部自分で考えるのは大変」「自分が作ったプランで本当にいいかどうかわからず、きちんと3年間で卒業できるか不安」といった場合は、3年での卒業をサポートしてくれる通信制高校を選ぶのがおすすめです。

例えば、明聖高校には「3日制コース」(中野キャンパスのみ)「通信コース」「WEBコース」という3つのコースがあります。スクーリング日数はそれぞれ週3日、年間約20日(月2回金曜日)、年間4日程度と異なりますが、いずれも3年間で卒業できるよう教育課程が編成されているのが特徴です。1年間で履修する科目や修得する単位数は、学校が年次ごとに決めてくれます。また、単に単位修得プランが決められているだけでなく、生徒一人ひとりがそのプランに沿って学習が進められるようサポート体制が整っているため、3年で卒業を目指すことが可能です。

ちなみに、通信制高校の修業年限は「3年以上」と定められており、短縮することはできなくても、4年以上になることに制約はありません。ただ、在籍期間が長くなるほど学費がかかりますし、卒業が先延ばしになってしまうと、卒業後の計画にも影響が出てくる可能性があります。学校とも相談しながら、ベストな学習・単位修得プランを考えましょう。