高校を中退する理由は人それぞれです。一度は中退したものの、編入して高卒資格を取りたいと考える人もいるでしょう。では、中退者が編入できる高校にはどのようなところがあるのでしょうか。また、高校を中退したままでは、就職などにどのように影響してくるのか、本記事でご紹介します。

高校中退者の就職事情は厳しい

文部科学省の調査によると、2017年の高校中退者は約4万7,000人、中退率は1.4%となっています。また、内閣府の調査では、高校中退者のうち、56.2%が現在「働いている」と回答。ただし、そのうち約8割がフリーターやパートといった非正規雇用です。

高校中退者は高卒者と比べて、就職事情が厳しいのが現状です。高校中退者は「中卒」という扱いになり、就職に不利になるケースが多いようです。
さらに、「中学新卒」ではなく、「中学既卒」という扱いになることで、結果として、中学新卒より競争の厳しい学歴不問の中途採用求人に応募せざるを得ない状況になっています。

求人数は日々変動するため、単純に高卒者と高校中退者の求人数を比較できるデータはなかなか見当たりません。参考として、厚生労働省が2016年に行った調査で、学歴別・産業別の入職者数をまとめたものを見てみましょう。
働いた経験のない「未就業者」だけを見ると、高校新卒では年間約43万人、高校既卒では約80万人が就職できています。
一方で、働いた経験のない高校中退者=中学既卒では、年間約25万人が就職しているという結果です。高卒者に比べ、高校中退者の求職者数がそもそも少ないという面もあるかもしれませんが、それでも、高卒者全体の約2割しか就職できていないというのは、深刻な状況だといえるでしょう。高校中退者が応募できる求人数が少ないのはもちろん、応募できたとしても、不採用となるケースも多いと考えられます。

さらに高校中退者は、就職できる業種も限られる傾向にあります。
同じ厚生労働省の調査データを見ると、中学既卒の就職先は「宿泊業、飲食サービス業」「卸売業、小売業」に偏っています。
一方、高卒では、これら2つ以外にも、建設業、製造業、運輸業・郵便業、生活関連サービス業・娯楽業、医療・福祉などの業種への就職が多くなっており、就職先の幅が広がっています。

このように、高校中退者を待ち受ける就職状況は厳しいため、可能であれば、高校に編入し、高卒資格を取っておくのが理想だといえるでしょう。

高校中退者の編入学を受け入れてくれる高校はたくさんある!

高校を中退しても、編入して高卒資格の獲得を目指している人はたくさんいます。
文部科学省の調査によると、2017年度の編入学者は全日制普通科240人、全日制専門学科60人、全日制総合学科43人、定時制1,016人、通信制5,176人にまで登ります。

編入学は、一度高校で1学年以上の課程を修了し、退学したあとに、また高校への入学を希望する人向けの制度です。1年生のときに退学してしまった場合は、単位が修得できていないため、新入学の扱いとなります。

以上を踏まえて、高校中退者の編入学を受け入れてくれる高校にはどのようなところがあるのか、詳しく見ていきましょう。

通信制高校

報告課題(レポート)と、スクーリング、そして単位認定試験をこなすことで指定の単位を取り、卒業できる高校です。2017年度には約5万3,000人が卒業し、高卒資格を取得しています。

報告課題は、例えば都立通信制高校であれば、年間約 82~86 通が目安です。
スクーリングは、年間 20 日前後の高校が多くなっています。単位認定試験は、年1~2回が一般的です。

編入学のタイミングは、年1回4月のみという高校もあれば、1年のうち複数回入学のチャンスがある高校もあります。出願の際は、以前に在籍していた高校の学籍・就学状況証明書や成績・単位取得証明書、教育課程表などの提出が必要な場合もあります。
入試は、面接や作文で行われることが一般的で、学力検査が行われないケースが多くなっています。

定時制高校

通学し、主に夜間4時間(17時ごろ~21時ごろ)に授業を受ける高校です。
2018年度は約2万人が定時制高校を卒業しています。4 年(または3年)で卒業できる「学年制」の高校と、一定の単位数を満たせば学年に関係なく卒業できる「単位制」の高校があるのが特徴です。
また、授業の時間帯については、午前部・午後部・夜間部の3部制を採用している高校も多く見られます。

入試では、高校1年修了程度レベルの学力検査と個人面接が行われるパターンがメジャーです。なかには学力検査のない高校や、特に成人の志願者に対して、学力検査の代わりに作文を提出することで受験できる高校もあります。入学のタイミングは4月開始が一般的です。

全日制高校

公立・私立の全日制高校でも、編入学を行っている高校は複数あります。

入学のタイミングは、公立は定時制の場合と同様に4月が基本。
入試も定時制と同じような内容・難易度です。一方、私立は、10月に編入学を受け入れているところもあります。私立の入試では、学力検査がなく、書類審査と面接、作文などで評価する学校も多くあります。

明聖高校の全日コース・通信コース・WEBコースも編入学が可能!

千葉県と東京都にキャンパスを持つ私立の明聖高校でも、全日コース・通信コース・WEBコースで高校中退者の編入学を受け入れています。
入試は学力検査がなく、個人面接と出願時の書類・作文のみで評価。入学のタイミングは4月です。

全日コースは、上記の全日制高校と同じシステム、通信コースは通信制高校と同じシステムのコースです。WEBコースは、インターネットを利用した自宅学習をメインとしたコース。動画授業を見たあと、WEB上で確認問題を解いて学習します。
年間4日程度のスクーリングとWEB上でのレポート提出、年1回の単位認定試験を経て、高卒資格を取得することが可能です。

いずれのコースもスクーリングが必要ですが、明聖高校では、特に前の高校で不登校になった経験があるなど、心の悩みがある場合でも安心して通学できるサポート体制を整えています。教員がカウンセリングの資格を持っているほか、カウンセラーが校内に常駐。
また、教室で授業を受けづらい場合は個別学習室で学習することも可能です。
登校そのものが難しい場合には、テレビ・ラジオで講座を視聴したり、DVD教材で学習したりして、「視聴報告課題」を提出し、出席時数に振り替えることもできます。

編入学には不安もあるかと思いますが、たとえ一度中退したことのある人でも、充実した高校生活を送れるよう学校全体でサポートするのが、明聖高校の特徴です。